
2026年4月8日(水)、鹿児島県阿久根市沖の海底から、ついに幻の戦闘機「紫電改・林喜重大尉機」の引き揚げに成功しました。
81年という長い年月を経て林喜重大尉の機体が再び太陽の光を浴びる瞬間を、固唾を飲んで見守っていた方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、当日の紫電改引き揚げ作業の詳細から機体の現状、そして次世代へ語り継ぐための今後の展望について詳しくご報告します。
幻の戦闘機「紫電改」引き揚げ成功!林大尉機が81年ぶりに浮上
2026年4月8日(水)、鹿児島県阿久根市沖にて「紫電改・林喜重大尉機」の引き揚げ作業が実施されました。
脇本海岸沿い約100メートルの地点に沈んでいた機体は、専門チームの手によって慎重に海面へと引き揚げられています。
終戦間際に散った林喜重大尉の機体が、81年の時を超えて現代に姿を現した歴史的瞬間となりました。
当日の引き揚げ作業は、以下の工程で執り行われています。
作業スケジュール
- 7時00分:池畑海事の潜水士(岩下社長ほか)、および大阪からボランティアで参画した岡伸一氏らにより、機体への吊り具設置作業が始まる。
- 10時00分:外薗建設工業のサルベージ船「白龍丸」(小園船長)が、満潮時刻に合わせて機体が沈んでいる地点に接近。引き揚げ作業がスタート。
- 11時20分:最初に機体の部品一部を回収。
- 11時25分:次に行方不明となっていたプロペラブレード4枚のうち2枚を回収。
- 12時15分:いよいよ本体の引き揚げ作業が始まる。ところが重大トラブルが発生し一時中断。緊張が走る。機体に入り込んだ砂により機体重量が想定をはるかに超えたため、機体を吊り上げるパイプに歪みが生じたのだ。このままではパイプが持たない。
- 14時15分:急遽取り寄せたレバーブロックなどで吊り具を補強し、引き揚げ作業を再開。
- 14時30分:機体は両翼をピンと張り、まるで空を飛ぶように海面から姿を現す。作業開始から約4時間、慎重に引き揚げてサルベージ船「白龍丸」の甲板へ無事据え置く。予定より大幅に遅れたが、事故もなく成功裏に作業を完了。海岸からは大きな歓声が上がった!
途中トラブルに見舞われながらも、翼の形状やエンジンの外殻が判別できる状態で引き揚げに成功。現場は深い感動に包まれました。
※機体の重量は4トン程度と想定していたが多くの砂が入り込んでおり、実際には2倍以上の9トンを超えていた。
実際の紫電改引き揚げ作業の様子↓↓
世界に現存する紫電改はたった5機。これまで、国内には愛媛県愛南市にある機体1機のみでしたが、今回引き揚げられた機体で2機目となります。
>>【感謝のご報告】「紫電改・林大尉機」引き揚げプロジェクトにご支援いただいた方々
引き揚げられた紫電改の現状と「20ミリ機銃」の確認
サルベージ船上に揚陸された機体は、誉エンジンの無骨な外殻や主翼の構造をはっきりと留めています。
びっしりと付着した貝殻や堆積物が81年という歳月の長さを物語り、周囲には独特の潮の香りが立ち込めました。
主翼の付け根付近からは、主力武装である「20ミリ機銃」の銃身がきれいな形で確認できました。
泥や錆に覆われながらも折れることなく残る銃身は、本土防衛の要として空を駆けた紫電改の力強さを象徴しています。
陸揚げ直後に撮影した紫電改↓↓
※4月15日(水)追記:その後の調査で、両翼の20ミリ機銃の部分に弾薬が残っていることも確認しました。
実弾確認 #実弾確認 pic.twitter.com/D4SirSD4S2
— 紫電改・林大尉機を引き揚げる会 (@ktstm_shidenkai) April 15, 2026
今後の保存計画について
引き揚げられた機体は、放置すれば酸化が進み急速に朽ち果ててしまいます。
貴重な戦争遺産を未来へつなぐため、専門的な知見に基づいた慎重な保全作業を計画しています。
1年間にわたる塩抜き処理
海水に浸かっていた機体は、そのまま放置すると塩分による腐食が急速に進行してしまいます。
専用の水槽に沈めて約1年間じっくりと時間をかけ、金属の細部にまで浸透した塩分を抜く作業が欠かせません。
この工程を丁寧に行うことが、将来的に機体を良好な状態で保存するための基盤となります。
出水市内で展示館の建設を目指す
処置を終えた紫電改は、かつて海軍航空隊の基地であった出水の地に、歴史の記憶を継承する拠点として展示したいと考えています。
戦争の悲劇を繰り返さないための「対話の場」として、2029年の展示館(ミュージアム)着工を目指し活動を進めています。
現在、特攻隊員の慰霊碑が立つ「特攻碑公園エリア」や、実物の戦争遺跡が残る「掩体壕(えんたいごう)現存エリア」などが建設候補地として検討中です。
寄付のお願い
引き揚げプロジェクトの達成は、私たちの活動の第一歩にすぎません。
機体を引き揚げた後、腐食を止め、未来永劫にその姿を保つための修復と保存処理が待っています。そして最終目標であるミュージアムの設立へ。
この歴史的遺産を後世に遺すために、皆さまのご支援をいただけると幸いです。寄付金の使途やお手続きの詳細は、下記ページをご覧ください。










